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広域連携は手段の一つ、目的が最も重要

広域連携と聞くと、水道事業の統合や情報システムの共同利用を思い浮かべませんか?少なくとも私はそうでした。

ところが、山形市で開かれた全国都市問題会議に参加してみると、話の中身は全然違いました。防災、観光、まちづくりと、想像していなかった分野の話が次々に出てきます。

2日間の会議で感じたことを整理します。

1. 水道の話だと思い込んでいた会議

2026年10月8日,9日に開かれた第88回全国都市問題会議の主題は「広域連携による都市圏づくり」でした。広域連携とは、複数の自治体が境界を越えて一緒に仕事をすることです。

人口が減れば、一つの市だけで施設を維持するのは難しくなります。だから近隣と設備をまとめて費用を抑える。そういう守りの話が中心だろうと考えていました。

実際、開催地の山形市からは、近隣8市町で学校給食の炊飯施設を共同で整備した事例が紹介されています。これは想像どおり。

ただ、印象に残ったのは別の話でした。

2. 都城志布志道路を動かした要望の言葉

宮崎県都城市の池田市長が報告したのは、何と道路の話。都城市と鹿児島県志布志市を結ぶ都城志布志道路は、着工から20年以上たっても開通率が3割程度にとどまっていました。

そこで、この道路を**「防災・経済・医療の道」**と位置づけて国に要望したそうです。大きな災害が起きたとき、内陸の都城市が沿岸部を後方から支える。その役割を果たすには道路が要るという論理です。

結果として、令和6年度に全線が開通しました。

興味深かったのは、池田市長が広域連携を「補足的な位置づけ」と表現したことです。

連携すること自体が目的になっていない。ここが腑に落ちました。

3. 雪国観光圏が文化でつなぐ観光

2日目のパネルディスカッションで最も印象深いのが、雪国観光圏の井口代表理事の話です。井口さんは、新潟県湯沢町で温泉旅館を営む民間の経営者です。

雪国観光圏は、新潟・長野・群馬の3県7市町村にまたがります。DMOと呼ばれる地域の観光づくりの舵取り役を担う法人です。

湯沢はスキーと温泉、南魚沼はコシヒカリ、十日町は芸術祭。それぞれが別々に宣伝しても、わざわざ訪れたい地域にはなりにくい。そこで井口さんたちは、雪と共に生きてきた知恵を**「雪国文化」**と名付け、一つの物語でつなぎました。

お客さまは、市町村の地名ではなく、その地域に抱くイメージで行き先を決める。

行政はどうしても市町村の境界で物事を考えます。でも、訪れる側に境界は関係ないんですよね。

立ち上げの頃は、周辺の自治体から「なぜ湯沢のために協力するのか」と言われたそうです。そこで掲げたのが「次の世代の子どもたちのために地域がどうあるべきか」という問いです。

目先の損得で話すと対立になるが、長期目線なら合意を形成しやすい。まちづくりにも通じる部分があると感じました。

4. 山形市の空き物件を埋めたゲリラ戦

もう一つが、東北芸術工科大学の馬場教授の報告です。建築家でもある馬場さんは、2009年から学生と一緒に山形市の空き物件の再生に取り組んできました。

空き旅館を学生の手でシェアハウスに改装する。映画館が消えた通りの空き店舗で、期間限定のカフェを開く。補助金に頼らない小さな取り組みを、馬場さんは「ゲリラ戦」と呼んでいました。

この動きが積み重なって、通りの空き物件が埋まっていきます。すると山形市がそれを受け止め、中心市街地のグランドデザインという政策にまとめました。

「政策立案は行政にしかできない。ゲリラ戦は民間にしかできない」

馬場さんのこの整理は、公民連携の役割分担そのものです。小学校の旧校舎を再生した拠点「Q1」は、開館から約4年で来館者が60万人を超えたといいます。

計画を作ってから使う人を探すのではなく、やりたい人を見つけて小さく始め、それを計画に戻す。この順番が肝です。

5. 行政に取り入れてほしい民間の熱量

2つの話に共通していたのは、出発点が民間であること。旅館の経営者と、大学の研究室。どちらも行政の計画から始まっていません。

当然ですが、民間のアイデアとやる気、情熱に行政は敵いません。

行政の仕事は公平性を重んじるため、どうしても動き出しが慎重になります。これは職員個人の問題ではなく、制度がそうなっているからです。

だからこそ、民間の動きを早い段階で見つけて、政策として受け止める仕組みが要るのではないでしょうか。

これからは、自分の自治体だけで完結する取り組みには限界があります。防災も観光もまちづくりも、周辺と手を組む場面が増えていくはずです。

ただ、広域連携は手段の一つに過ぎません。先に決めるべきは、どんな街をつくりたいのかという目的です。組む相手と組み方は、その後に決まります。

実りのある2日間でした。大分市で何に活かせるか、議会での提案につなげていきます。

この記事のまとめ
  • 2026年10月に山形市で開かれた第88回全国都市問題会議の主なテーマは、広域連携による都市圏づくりでした。
  • 印象に残った雪国観光圏と山形市の空き物件再生は、どちらも出発点が行政ではなく民間です。
  • 広域連携は手段の一つに過ぎず、先に決めるべきは「どんなまちをつくりたいか」という目的です。

この件は、市民の方からいただいたご相談や、現場での気づきが出発点でした。

「私の校区の問題も相談に乗ってほしい」

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