【大分駅前再開発を徹底解説③】民間が建てて市が使うバスターミナル

自分の土地を人に貸し、そこに建った建物を、お金を払って使わせてもらう。
少し違和感を感じる手法ですが、大分駅東の市有地の整備計画について、D案がこの提案です。バスターミナルを民間が建てたあと、市が買い取るか、借りる計画です。
これには理由があります。今回はこのD案を、概要書の実物をお見せしながら整理します。
1. 面積まで書き込まれた概要書
出典:大分市「22街区・54街区利活用に関する民間アイデア募集の提案概要について」(提案D)
D案のタイトルは「大分駅前 Base Point PROJECT」です。市が示した4つのテーマをすべて選んでいます。提案の言葉では、にぎわい、交流、安全・安心、情報発信の拠点を目指すとのことです。
この概要書の特徴は、施設ごとの規模が書かれていることです。
■ 交通結節機能:約8,000㎡(22街区と54街区)
■ ハイクラスビジネスホテル:約200室で約9,000㎡(22街区)
■ 事務所と展示・交流施設:約12,000㎡(22街区)
■ そのほか:店舗、教育文化施設、集合住宅、駐車場
駅に近い22街区にホテルと事務所を置き、東側の54街区に住宅と駐車場を置く配置です。
では、この提案の一番の特徴であるデッキを見ていきましょう。
2. 街区をまたぐ回廊型のデッキ
出典:大分市「22街区・54街区利活用に関する民間アイデア募集の提案概要について」(提案D)
図の中央、2つの街区の間に注目です。ここに2階の高さで両街区にまたがるデッキがあり、提案では「Transit Corridor」と名付けられています。
市の募集条件は、両街区を一体的に利用することだからデッキで繋いだのでしょう。図を見ると、デッキの上は緑の広場になっていて、人が歩行できるようです。バスや車は、従来どおり地上の道路を通行できる考え方です。
デッキにはもう1つ役割があって、災害時には一時的な避難所や、帰宅困難者を受け入れるスペースにするとしています。デッキの屋上部などには緑化した広場を設け、イベントを定期的に開く計画です。
3. 市の想定を上回る交通施設の規模
ここで、市が募集のときに示した条件と比べてみます。
市は交通結節機能について、延べ床面積で3,500㎡から5,000㎡程度を基本とする考え方を示していました。高速バスや貸切バスの乗り降り、路線バスとタクシーの待機場所、待合やトイレを収める想定です。
これに対するD案は約8,000㎡。にぎわい情報発信スペースなども含んだ数字ですが、市の想定より大きい施設を提案していることになります。
広い施設は使いやすい一方で、造る費用も維持する費用も増えます。次は、その費用を誰が持つのかを確認します。
4. 借地と売却を使い分ける土地の扱い
D案は、土地の扱いを2つに分けています。
■ 基本:事業用定期借地(契約期間は40年から50年)
■ 54街区の住宅部分:民間事業者に売却
定期借地とは、期間を決めて土地を貸し、終われば市に返ってくる仕組みです。このうち事業用定期借地は、事業用の建物に限って使える方式で、住宅を建てる土地には使えません。住宅部分だけを売却としているのは、このためと考えられます。
連載1回目のA案は、タワーマンションの土地が購入者に移る提案でした。D案も住宅の土地は戻ってきませんが、それ以外の土地は契約が終われば市へ返ってくる形です。
5. 完成後に市へ移るバスターミナル
建物は民間が所有しますが、バスターミナルは扱いが違います。
概要書によると、まず民間事業者がすべての施設を整備します。その後、バスターミナルなどの交通施設は大分市に売却するか賃貸するとされています。管理は市に移し、運営は交通事業者と連携して行う計画です。
A案の回で、定期借地の場合はバスターミナルの建設費を市が負担する可能性が高くなると書きました。D案はそれに近い形で、土地が戻ってくる代わりに、交通施設を買うか借りるかの費用が市に生じます。
市の基本構想も、交通施設は民間が一体的に整備し、市が借りるか共同で所有する考え方を示していました。D案のうち賃貸の場合は、この考え方と同じ形です。売却の場合は市が施設を丸ごと買い取ることになり、構想の想定とは少し違います。
ただ、金額は概要書に書かれていません。約8,000㎡の施設を買うのか借りるのかで、市の負担は大きく変わります。
6. この提案で見定めるべき点
D案は、施設の中身と規模、土地と建物の扱いまで具体的に示した提案です。そのぶん、確認すべき点もはっきりしています。
■ バスターミナルの費用:売却と賃貸のどちらになり、市の負担はいくらか
■ 施設の規模:市の想定を上回る広さが本当に必要か
■ デッキの管理:民間事業者が担うとされるが、広場や避難スペースの費用まで含むのか
■ 住宅部分の範囲:戻らない土地の範囲はどこまでか
今回の提案は、事業者を決めるものではなく、市が利活用方針を考えるための参考という位置づけです。方針は令和8年度に決まる予定になっています。
残る提案も、土地の扱いと市の負担に注目して順に見ていきます。
出典:大分市公式サイト
「22街区・54街区の利活用に向けた民間アイデアを募集しました」
「中心市街地公有地利活用基本構想」
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