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交通空白ゼロの大分市でタクシーが捕まらない夜

飲み会の帰りにタクシー会社へ電話したら、「いまはお迎えできる車がありません」。

大分市で暮らしていて、そんな夜を経験した方もいるのではないでしょうか。

ただ、市の答えは「大分市に交通空白はない」です。この食い違いについて整理します。

1. 夜と郊外で聞く足の不足

夜になるとタクシーが捕まりにくい。これは私自身の実感でもあり、地域の方からも同じ声を聞いています。

特に切実なのは郊外です。実際に聞いた声は、こういったものでした。

■ 飲み会のあと、家まで帰る足がない

■ 救急搬送された身内を病院へ送り届けたものの、帰りの足がない

病院の帰りは、時間を選べません。夜中に病院を出て、タクシーを呼んでも来ない。想像するだけで心細くなります。

タクシーの乗務員は歩合制のため、夜は客の多い中心部に車が集まりやすいんです。郊外まで迎えに行くのは、どうしても後回しになります。

では、市はこの状況をどう見ているのでしょうか。

2. 市が示した交通空白ゼロの根拠

2026年6月22日の大分市議会本会議で、ライドシェアについての一般質問がありました。都市計画部長の答弁は次のとおりです。

令和7年度に、国の交通空白解消本部が取りまとめた全国調査において、本市市域内に交通空白地域は存在しないとされていることから、現時点ではライドシェアを導入する必要性はないものと考えております

ライドシェアとは、一般のドライバーが自家用車を使い、有償で人を運ぶ仕組みです。日本では、タクシー会社が管理する形と、市町村などが運営する形の2つがあります。

気になるのは、国の調査の仕組みです。この調査は国が機械的に判定したものではなく、各自治体が「対応が必要な地域」を自ら挙げる自己申告です。

大分市の回答は0地区でした。県内では別府市が8地区、中津市が5地区を挙げ、県全体では33地区にのぼります。

では、何を根拠に0と判断したのか。市に確認したところ、市内のタクシー事業者23社へのアンケートでした。

地域別・時間帯別に「30分以内に迎車できるか」を尋ね、佐賀関を含めて対応できるという回答だったそうです。一方で、市民へのアンケートは行っていません。

3. 業界アンケートだけで測る限界

業界の声を聞くこと自体は必要です。ただ、ライドシェアはタクシー業界にとって、自らの仕事のあり方に関わる制度です。

その必要性を、業界へのアンケートだけで判断している。判断材料が片側に寄っている状態は、良い状態とは言えません。

国も交通空白の判断について、次のように示しています。「画一的指標による判断のみならず、地域の実情や利用者目線を踏まえた判断が求められる」。

国が挙げる交通空白の例には、こんなケースもあります。「タクシーも電話予約しても配車されないことが多く、日常生活の移動に支障がある」。

利用者の目線で見ると、郊外で聞いた声は、この例とそう遠くありません。

4. 単純な導入では済まない理由

とはいえ、ライドシェアを入れれば解決する、という話ではありません。

いま大分市で導入するなら、市が主体となる公共型になるはずです。隣の別府市が運営する「湯けむりライドシェア」も、この公共型にあたります。

別府市の委託料は約6,000万円で、国の交通空白対策の補助が3分の2出ていますが、事業としては赤字だそうです。

もう一つの心配は、一度ライドシェアを入れた地域に、タクシーが戻ってくるとは限らないことです。そうなれば、市が支え続けるしかない。

市民アンケートも、聞き方を誤れば「あったら便利」という声ばかりが集まりかねません。確かめたいのは導入の賛否ではなく、本当に足が足りていないのかです。

5. スポットか慢性かの見極め

ここで鍵になるのが、不足が一時的なスポットなのか、慢性的なのかです。

別府市でも、平時の日中はライドシェアの需要がほとんどないそうです。大型クルーズ船の寄港や花火大会のときに、一気に跳ね上がります。

需要が特定の日に集中するなら、その日に合わせた手当てで足ります。毎晩のように郊外で足がないなら、打つべき手はまったく変わります。

一方で、担い手が減っているのは確かです。市の地域公共交通計画によれば、市内のタクシー運転者は2016年度に1,200人。2020年度には965人まで減りました。

6月の答弁でも、市は路線バスやタクシーの運転手の減少と高齢化を認めています。運転免許の自主返納者は、毎年2,000人程度ずつ増えているそうです。

6. 市に求めた将来への議論

そこで市には、効果的な情報を集め、将来を見据えた議論をしてほしいと要望しました。

例えば、次のような情報があれば、スポットか慢性かを見分けやすくなります。

■ 夜間の時間帯・地域別に、タクシーの配車を断った件数や待ち時間

■ 配車アプリで車が見つからなかった記録

■ 業界だけでなく、利用者である市民の声

ただ、配車の記録は民間企業のデータで、市はまだ入手していません。事業者の協力なしには集められないため、業界と一緒に実態を確かめる形が現実的ではないでしょうか。

ライドシェアの是非を決める前に、夜の足の不足がいつ、どこで起きているかを確かめることが先です。

夜の帰り道に困った経験は、なかなか市には届きません。お住まいの地域で同じような経験があれば、ぜひ教えてください。

この記事のまとめ
  • 大分市は国の交通空白調査に0地区と回答し、2026年6月議会でライドシェアは不要と答弁しました。
  • 判断の根拠はタクシー事業者23社へのアンケートで、市民へのアンケートは行われていません。
  • 夜の足の不足がスポットか慢性かを見極める情報を集め、将来を見据えて議論するよう市に要望しました。

この件は、市民の方からいただいたご相談や、現場での気づきが出発点でした。

「私の校区の問題も相談に乗ってほしい」

こういったご要望があればご連絡ください。すぐに解決できないこともありますが、記録して積み上げていきます。

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