子どもの所管を教育委員会へ移した鎌倉市の覚悟

「将来世代のために改革を」
この言葉は、議会の内外でよく耳にします。ただ、実際に仕組みを変えられるかどうかは、また別の話です。
2026年10月20日、子ども育成・若者活躍推進特別委員会の視察で、神奈川県鎌倉市を訪れました。テーマは子どもの居場所づくりですが、一番印象に残ったのは組織の話でした。
1. 鎌倉市の放課後かまくらっ子
鎌倉市では、学童保育の「子どもの家」と、誰でも使える「子どもひろば」を一体で運営しています。この2つを合わせて、放課後かまくらっ子と呼んでいます。
学童保育とは、保護者が働いているなどの理由で、放課後に家庭で見られない小学生を預かる仕組みです。子どもの家の利用料は月7,500円で、こちらは保護者の就労などが条件になります。
一方の「子どもひろば」は、年500円の保険料と材料などの実費だけで、その校区の小学生なら誰でも登録できます。親が働いているかどうかは関係ありません。
市内16の小学校区すべてにあり、学校の敷地の外にあるのは3か所だけ。授業が終わったら、子どもたちはそのまま歩いて向かえます。登録しているのは全児童の約46%で、2人に1人が利用している計算です。
2. 学校の敷地にあるからこその壁
利用が多い分、手狭になっている施設もあるそうです。ただ、学校の敷地内にあるため、建物を広げるのは簡単ではありません。
そこで考えるのが、教室や図書室といった学校の施設を借りることです。ところが鎌倉市でも、学校施設の活用はなかなか進んでいません。学校施設の利用は、教育委員会ではなく、学校長の判断に委ねられる部分が大きいためです。
実はこの悩み、大分市も同じです。学校施設を使うと、普通教室(皆さんが想像する教室)のモノが紛失した時、誰が責任を取るのか。校舎の施錠はどうするのか。など、現実的なハードルが高いのです。
では、鎌倉市はこの壁にどう向き合ったのでしょうか。
3. 子ども未来部を教育委員会へ
鎌倉市は2026年4月、子どもの施策を担う子ども未来部を、市長部局から教育委員会へ移しました。
市長部局とは、市長の指揮の下で仕事をする部署のことです。教育委員会は、学校教育を担う、市長から独立した行政機関です。
きっかけは、新しい総合計画でした。鎌倉市はこれまで、1996年につくった構想を30年間使い続けてきたそうです。現在の市長にとっては、初めてゼロからつくる計画だったといいます。
その計画で、こどもまんなか社会の実現を事業の中心に位置づけました。生まれてから育つまでを一つの組織で担うべきだ、という考えから、組織を組み替えたようです。
教育委員会に移ったことで、学校と連携しやすい体制になりました。今年の夏休みには、試験的に一つの校区で学校の図書室を使い、良い評価を得たそうです。この事例を他の学校へ発信して理解を広げる段階のようです。
4. 改革の速度を決める首長の覚悟
子どもの所管を教育委員会に移す。これは、幼少期から義務教育に至るまで、教育委員会が面倒を見る覚悟を持つということです。
大分市では、子どもに関する施策を市長部局が担っています。この形だと、学校の施設を使うにも、学校や教員との調整がその都度必要になります。結果、改革の速度が落ちてしまいます。
「将来世代のために改革を」という声はよく聞きます。ただ、実際にできるかどうかは別の話です。
鎌倉市の場合、背中を押したのは、計画を一からつくり直す機会と、それを組織の形にまで落とし込んだ首長の判断でした。仕組みを大きく変えるには、首長の役割がとても大きいと感じます。
もちろん、教育委員会に移すことが唯一の正解だとは思いません。大分市には、大分市に合った形があるはずです。
それでも、政治で何より大切なのは、覚悟を持って進めることです。今回の視察で学んだことを、大分市の子どもの居場所づくりの議論に生かしていきます。
- 2026年10月20日、子どもの居場所づくりをテーマに神奈川県鎌倉市を視察しました。
- 鎌倉市は2026年4月、子ども未来部を市長部局から教育委員会へ移しました。
- 仕組みを大きく変えるには、覚悟を持って進める首長の判断が欠かせません。
この件は、市民の方からいただいたご相談や、現場での気づきが出発点でした。
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