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【大分駅前再開発を徹底解説②】県庁移転で街は生まれ変わるのか?

大分駅東の22街区・54街区の利活用に関する民間アイデア募集について、前回の記事では最大規模の提案A「OITA CROSS GREENS」を取り上げました。

今回は12提案の中、市民の心身の豊かさを意味するウェルビーイングを開発の中核に据えた提案B「well-becoming with おおいた」を掘り下げます。

県庁本館の駅前移転という大胆な構想の中身と実現に向けた課題を整理しました。

1. ウェルビーイングを軸にした提案

提案Bのビジョンは「住む人も訪れる人も誇らしい、好循環が生まれるまち」。コンセプトは「OITA LOOP ~めぐり、つながり、育つまちなか~」です。

特徴は、開発の目的そのものにウェルビーイングを掲げたこと。しかも、Well-being(良い状態であること)ではなく、Well-becoming(良い状態へと共に成長していくこと)

まちと人が一緒に変わり続けるという動的なビジョンが描かれています。

提案資料では、住む人の地域への誇り(シビックプライド)が訪れる人にとっての魅力につながり、都市の格を高める好循環の創出が期待されると記載されています。

大規模商業施設やタワーマンションの建設が主眼ではなく、まちに暮らす人の心の豊かさから都市の価値を高めようとする発想は、他の提案と一線を画しています。

2. 県庁を駅前に移転

この提案の最大の特徴は、大分県庁の本館機能を54街区へ移転するという構想です。54街区に延床面積約3万㎡・10階建ての県庁新本館を建設し、1~2階にはフードホールやギャラリーを併設する計画になっています。

前回取り上げた提案Aが54街区に29階建てのタワーマンションを配置したのに対し、提案Bは同じ敷地に県庁を持ってくる。駅前の一等地をどう使うのか、根本的な思想の違いが表れています。

ただし、県庁移転は大分市の権限だけでは実現できません。大分県の予算措置と県議会の承認が不可欠であり、市の提案募集の枠組みを超えた広域調整が必要になります。

この点が、この提案における最大のハードルです。

3. 旧県庁本館を壊さず活かす

県庁が駅前に移転した後、現在の県庁本館はどうなるのか。

提案Bの答えは、取り壊しではなく適応型再利用を掲げます。歴史的・建築的価値のある建物の外観や趣を残したまま、クリエイティブ・交流支援の複合施設として再生する構想が示されています。

城址公園に隣接する現在の県庁本館は、府内城の景観と一体となった大分の都市資産です。これを壊さずに活用するという選択肢には、文化的な意義があります。

しかし、現実問題として旧耐震基準の大規模建築物を現代の用途に転用するには、耐震補強だけでも相当な費用がかかります。過去の事例を見ても、歴史的建造物のリノベーションは新築と同等以上のコストになるケースが珍しくありません。

その費用を県が負担するのか、民間事業者が担うのか。提案資料だけでは読み取れない重要な論点です。

4. 2つの拠点を結ぶOITA LOOP

提案Bでは、22街区・54街区を「GATEWAY PARK」、現在の県庁・府内城・市役所周辺を「FUNAI PARK」と位置づけ、この2つの拠点をみどりのネットワークでつなぐ回遊構想が描かれています。

22街区には1階にバスターミナル、上階にオフィスや温浴施設、共創スペースを配置し、延床面積は約3万㎡。2~4階には屋上テラスが設けられ、54街区の県庁前広場と合わせて、緑豊かな歩行者空間を形成する計画です。

提案資料では「環境再生型のまちへ」という表現が使われていました。商業施設の集客力に頼るのではなく、歩くこと自体が目的になる都市空間を目指す点は、中心市街地における歩行者通行量の減少傾向に対する処方箋の一つと言えます。

5. 市の一等地を県に手放す重み

提案Bの事業スキームでは、54街区は市と県の間で土地売買を行い、土地・建物とも県が所有すると想定されています。大分駅前の最後の大規模公有地を、県に売却して手放すことの是非は、市議会で慎重に議論すべきテーマです。

前回取り上げた提案Aでも、タワーマンション用地の民間譲渡によって将来土地が市の手元に戻らないリスクを指摘しました。提案Bでは売却先が民間ではなく県ですが、市が土地の利用権を手放すという構造は共通しています。

6. 見定めるべきポイント

提案Bは、ウェルビーイングという理念、県庁移転という大胆さ、既存建築の再利用という文化的視点において、他提案の中でも独自性があります。一方で、市だけでは完結しない複雑な調整が求められます。

  • 県との合意形成プロセス:県庁移転の是非は県政の重大テーマであり、大分市側の構想だけでは動かない。県との協議の進捗状況を行政に対して確認する必要がある
  • 旧県庁本館の改修費用の負担区分:アダプティブリユースの理念は評価できるが、耐震補強を含む改修の概算費用と負担主体が不明確である
  • 交通影響評価の実施:バスターミナルと県庁機能が加わることで、駅周辺の交通処理能力が限界を超えないか

前回の提案Aと今回の提案Bは、同じ敷地に対してまったく異なるビジョンを描いています。

今後も他の提案を順次取り上げ、比較しながら解説していきます。

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