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大分市217億円の基金運用、機会損失を防ぐ確実な財源確保の提案

大分市が将来に備えて積み立てている基金は、令和6年度末時点で約217億円。この巨額な公金が、実はその95%以上を現預金のまま寝かせた状態にあることをご存じでしょうか。

先日の大分市議会一般質問で基金の運用実態を問いただし、金利上昇局面における機会損失を防ぐための具体的な提案を行いました。

議会での質疑を通じて見えてきた財政の現状と課題を、この記事で詳しくお伝えします。

1. 金利上昇時代におけるリアルな財政見通し

日本経済は今、大きな転換点を迎えています。2026年5月時点の市場では、国債の利回りが3年物で1.5%超、5年物で1.8%超まで上昇しました。長く続いたゼロ金利の時代とは、明らかに局面が変わっています。

金利の上昇は預金金利が上がるプラス面もありますが、同時に物価上昇によるインフレリスクも高まります。つまり、現金をただ持っているだけでは、その実質的な価値が目減りしていく時代に入ったということです。

本市の財政状況も楽観できません。令和7年10月に公表された財政収支の中期見通しでは、物価高騰の影響に加え、新環境センター整備などの大型事業により義務的経費が増加。令和11年度に向けて主要3基金を段階的に取り崩すという、極めて厳しい見通しが示されています。税収の大幅な伸びが見込めない中、今ある資金をどう活かすかが問われています。

2. 基金の大半が預金となっている実態

基金とは、日々の支払いに使う手元資金(歳計現金)とは別に、特定の目的のために積み立てておく貯蓄のことです。

令和6年度末時点で、本市の基金残高は全体で約217億円に上ります。この巨額の資金が具体的にどう管理されているのか。本会議で内訳を質問したところ、以下の答弁がありました。

  • 基金総額:216億7,473万円
  • 現預金(金融機関への預金):207億37万円
  • 債券運用(国債):9億7,435万円

基金全体の95%超が現預金で管理されている。これが本市の基金運用の実態です。

物価が上がり続ける局面で、これだけの公金を預金のまま置いておくことは、実質的な目減りを見過ごしていることにほかなりません。

3. 短期債券の活用による確実な財源確保

短期の国債でも1%を超える利回りが確保できる現在の市場環境は、自治体にとって運用の好機です。仮に10億円という保守的な規模であっても、年利1%で運用すれば年間1,000万円の運用益が生まれます。

本市には、将来の借金返済に備える減債基金や、大型施設の建設に充てる市有財産整備基金など、取り崩す時期があらかじめ見えている基金があります。その支払い時期に満期が合致する短期の安全銘柄を選び、満期まで保有すれば、リスクを最小限に抑えた確実な運用が可能です。

議会でこの点を提案したところ、執行部からは「少額かつ短期の債券運用は、低リスクで確実な運用益が見込まれ、財源を捻出する上で有効な手法の一つである」との前向きな認識が示されました。

4. 巨額事業に伴う歳計現金不足への懸念

ただし、行政が運用に踏み出せない構造的な理由も明らかになりました。市の予算執行では、国庫支出金や地方債などの収入が年度末に集中するため、年度途中で手元資金が不足する場面があります。その際、金融機関から借り入れるのではなく、基金の現金を一時的に繰り替えて(借りて)対応しています。

再質問で得られた具体的な数値は、この課題の大きさを物語っています。

  • 年度途中のピーク時には基金から約140億円を繰り替え運用
  • 新環境センターが完成する令和9年10月に約215億円の支出を見込む
  • 直近2年間の10月末時点の余剰資金は平均約28億円
  • 令和9年度は同時期に約187億円の資金不足が見込まれる

このように、大型事業の進捗に伴って例年より早い段階で基金の繰り替えが必要となり、流動性(すぐに引き出せる現金)の確保が欠かせないという事情がありました。

5. 運用におけるスモールステップの重要性

巨額の資金不足への備えや、災害など突発的な支出に現金を確保しておきたいという現場の判断は、十分に理解できます。公金を預かる者として当然の危機管理意識です。

しかし、不足が見込まれる187億円を現在の基金残高217億円から差し引いても、計算上は約30億円が手元に残ります。大切なのは、できない理由を探して立ち止まることではなく、安全な範囲を見定めて小さな一歩を踏み出すことです。

厳しい財政状況だからこそ、運用益で少しでも予算の原資を確保することは、直接的に市民への恩恵に繋がります。現預金中心のこれまでの管理から一歩踏み出すことには、現場にとって心理的なハードルや責任が伴うことも承知しています。

それでも、他都市の先進事例を参考にしながら、できるところからスモールステップで取り組んでいただくよう、議会の場で強く要望しました。

市民の大切な税金が最大限に活かされるよう、今後も基金運用の動向をしっかりと注視していきます。

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