連日のメディア報道を目にして「少しでも違反をすれば、すぐに反則金を取られるのではないか」と不安を感じている方が多いのではないでしょうか。自転車に乗るのが怖くなってしまった、という声も耳にします。
まず最初に結論をお伝えします。
普段から周囲の歩行者や車に気を配って安全運転をしている方が、ある日突然反則金を取られるようなことはありません。制度の目的は、自転車を安全に利用できる環境を作ることであり、市民を闇雲に罰することではないからです。
また、対象は16歳以上です。16歳未満の場合は指導警告が行われます。
この記事では、新しい制度の全体像と、安心して自転車に乗り続けるためのポイントを整理してお伝えします。
青切符導入の本当の目的と3つの罰則の違い
これまで自転車の違反に対する処分は、口頭で注意されるか、いきなり前科がつく重い処罰(赤切符)か、という極端な二択しかありませんでした。今回導入された青切符は、この中間を埋めるためのものです。
違反の重さに応じて、対応は次の3段階に分かれます。
指導警告
違反に対する注意喚起です。罰金も前科もありません。日常的なうっかりミスは、まずここで対応されます。
青切符
比較的軽微ではあるものの、放置できない違反に対して適用されます。反則金を納付すれば刑事裁判にはならず、前科もつきません。自動車の駐車違反や一時不停止と同じ扱いです。
赤切符
非常に悪質で危険な違反に対する処分です。警察や検察の捜査を経て裁判となり、有罪が確定すれば罰金刑等が科され、前科がつきます。
どんな運転が違反になるのか
現場の警察官は、違反の危険性や悪質性を見て対応を判断します。メディアでは青切符に該当するケースが大きく報じられがちですが、日常的な軽いケースに対しては、これまで通り指導警告が基本です。
指導警告で収まるケース
周囲に危険を及ぼしていない、軽微なルール違反が該当します。
- 車道が原則であることを知らず、歩行者がいない広い歩道をゆっくり走っていた
- 一時停止の標識を見落としてしまったが、周囲に他の車両や歩行者が全くいない状態だった
うっかりミスは、いきなり切符を切られるのではなく、まず正しいルールを教えてもらえます。
青切符の対象となるケース
相手に回避行動をとらせた場合や、警察官の指導を無視した場合等が該当します。
- 歩道をかなりのスピードで走り抜け、歩行者を避けさせた
- 警察官から「左側を走ってください」と注意されたのに、無視してそのまま右側を走り続けた
- 周囲を見ずにスマートフォンの画面を見つめながら運転していた
- 遮断機を無視して踏切に進入した
- ブレーキの無い自転車を運転した
赤切符の対象となるケース
反則金では済まない、一発で刑事手続きに進む行為です。過失ではなく、明らかな故意や重大な危険行為が対象となります。
- お酒を飲んで自転車を運転した
- 自動車や他の自転車に対して、執拗に進路を塞ぐなどのあおり運転をした
- スマートフォンを操作しながら走行し、歩行者とぶつかってケガをさせた
実際に車線を走って感じた恐怖
先日、私自身もサイクリングに参加し、車道を走る経験をしてきました。法令に従うのは当然のことですが、正直に言えば怖かったです。
国道197号線は交通量が多く、大型車が横を通過するたびに身の危険を感じました。それだけでなく、自転車がいることで後続車の流れを妨げてしまい、交通渋滞を引き起こすのではないかという申し訳なさもありました。
車道を走る方がかえって危険ではないかという市民の声は、現場を走ってみて非常にごもっともだと実感しています。
無理して車道を走る必要なし?
道路交通法はこの問題をきちんと考慮しており、「どんなに危険でも絶対に車道を走れ」とは規定されていません。自転車は原則として車道の左側を通行するルールですが、例外的に歩道を通行できる3つのケースが定められています。
- 歩道に「自転車通行可」の道路標識や道路標示がある場合
- 運転者が13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、または身体に障害のある方の場合
- 車道を通行することが危険で「やむを得ない」と認められる場合
特に重要なのは3つ目です。「やむを得ない場合」とは、具体的に以下のような状況を指します。
- 車道の左側に駐車車両が連続しており、右側(車線側)に出て避けるのが極めて危険な場合
- 交通量が多いにもかかわらず車道の幅が狭く、自転車が安全に走るスペースがない場合
- 道路工事や落下物があり、安全な通行が妨げられている場合
- 後方から自動車が著しく幅寄せしてくるなど、生命の危険を感じる場合
こうした状況では、無理に車道を走り続ける必要はなく、歩道に避難して通行することが認められています。
歩道を走る場合は歩行者優先
ただし、歩道はあくまで歩行者のための場所です。危険を避けるために歩道を通行する際にも、以下のルールを必ず守ってください。これを怠ると、指導警告や青切符の対象となり得ます。
- 歩行者の通行を妨げてはいけません
- 歩道の中央や店舗側ではなく、車道寄りを、すぐに止まれる速度で通行します
- 歩行者の邪魔になる場合は、自転車側が一時停止するか、降りて押して歩きます
安心して自転車に乗るために
最後に、皆さんにお伝えしたいことをまとめます。
新しい制度の要点は「周囲に危険を生じさせない思いやり」と「警察官の指導に素直に従うこと」、この2点に尽きます。
ルールが厳しくなったからといって、命の危険を冒してまで車道を走る必要はありません。トラックが多くて怖い道、路上駐車で塞がれている道では、ためらわずに歩道に避難してください。法律がそれを認めています。
万が一、ルールを知らずに警察官に止められた場合でも、素直に指導を聞き入れれば多くは指導警告で済みます。逆に、言い争ったり逃げたりすると、青切符や赤切符に発展しかねません。
普段の運転で意識していただきたいことは、「歩行者を優先すること」と「左側を通行すること」。この2つだけです。それを守るだけで違反の大部分を防ぐことができます。
どうぞ安心して、日々の暮らしに自転車をご活用ください。





