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少子化の本当の原因は未婚化、国が子育てを担う時代への転換

少子化の原因の9割は、晩婚化ではなく未婚化である

少子化社会対策白書をはじめとする政府の公式データが、この事実を明確に示しています。原因分析を飛ばしたまま対策だけが語られることは、政策を評価する上で本質を見逃しかねません。

本記事では下記出典を元にして、戦後の産児制限から現在に至るまでの構造を整理し、今求められる子育て支援のあり方を考えます。

> 出典:木下 斉「狂犬アカデミア」 > [『誰も言わない!日本が「少子化」を選択した本当の理由【1】』](https://www.youtube.com/watch?v=0vmlx63L1Gg)

1. 少子化の9割を占める未婚化という真実

数年前ですが、麻生元総理が「少子化の主な原因は晩婚化」と発言したことが話題になりました。確かに晩婚化は一因ではありますが、少子化社会対策白書に記載されている研究データを確認すると、合計特殊出生率の低下のうち約9割は未婚率の上昇で説明がつくとされています。残りの1割が、結婚した夫婦の出生数の減少です。

具体的な数字を見てみます。1970年の時点で50歳までに一度も結婚しなかった人の割合は、男性1.7%、女性3.3%でした。それが直近のデータでは男性は28.3%、女性は17.8%にまで上昇しています。

日本では結婚と出産が強く結びついているため、結婚しなければ子どもを持たないケースがほとんどです。未婚率がこれほど上がれば、出生数が減るのは当然です。

一方、結婚した夫婦が生涯に持つ子どもの数(完結出生児数)はどうか。1940年代には4.2人でしたが、団塊ジュニア世代あたりで2.2人になり、現在は約1.9人です。確かに減ってはいますが、ここ半世紀以上、劇的な変化は起きていません。

結婚すれば、ある程度は子どもを産み育てている。

この事実が見過ごされたまま、子育て支援だけが少子化対策として語られることに矛盾を感じています。

2. 戦後の産児制限が引き起こした少子化への転換

日本の少子化は自然に起きたわけではありません。戦後、意図的に進められた政策の結果です。

1947年から49年にかけての第1次ベビーブームでは、年間260万人を超える子どもが生まれました。しかし当時の日本は、戦後の経済的混乱のただ中にあります。7,000万人ですら食べさせられるか分からない状況で、毎年250万人以上が生まれてくる。GHQをはじめとする占領政策の関係者からも、人口爆発への強い懸念が示されました。

こうした背景の中で1948年に優生保護法が成立し、経済的理由による人工妊娠中絶が広く認められるようになりました。中絶件数は1949年の約10万件から、1953年には年間100万件を突破します。

当時は「明るい家族計画」というスローガンのもと、出生数の管理が近代的な家庭の象徴として広まりました。子沢山はむしろ後進的であり、少ない子どもを大切に育てることこそ先進国の姿だという価値観が浸透していきます。つまり日本の少子化は、戦後の経済状況と人口バランスを見据えた上で、政策的に選択された結果だったといえます。

3. 経済的理由で崩壊する家庭の子育て

戦後の日本社会は、父親が外で働き、母親が専業主婦として子ども2人を育てるという「標準家庭」を前提に制度を設計しました。公営住宅や団地の間取りも、この家族構成に合わせて作られています。子ども4人、5人が暮らせる広さにはなっていません。

ところが1986年の男女雇用機会均等法の施行により、女性も社会に出て働くことが推進されます。専業主婦ですら子ども2人が限界だった環境で、両親とも働くにも関わらず、子育ては引き続き家庭の責任とされました。冷静に考えれば、ここに無理があります。

さらに1990年代のバブル崩壊後、非正規雇用の規制緩和が進みました。就職氷河期を経験した団塊ジュニア世代以降の若者は、安定した収入を得ること自体が難しい状況に追い込まれます。本来、この世代が出産適齢期を迎えたタイミングは、少子化を食い止める最後のチャンスでした。

しかし、経済的な基盤が脆弱な中で、結婚して子どもを持つという選択は現実的ではなく、第3のベビーブームは、ついに訪れませんでした。

ここで見落とされがちなのは、高齢者の介護についてはすでに「家庭から社会へ」転換が実現している点です。年金制度や医療制度改革をはじめ、2000年に始まった介護保険制度により、介護は家族だけの負担ではなくなりました。

しかし子育てについては、いまだに家庭の第一責任が強調されたままです。この非対称が、若い世代の結婚や出産へのハードルをさらに高めていると言われています。

4. 国が子育てを全面支援する必要性

高校教育や学校給食の無償化が実現されたことは重要ですが、いま必要なのは、介護分野で実現したような社会全体の構造転換です。

具体的には、婚姻の有無にかかわらず出産と育児を支える制度の再構築が挙げられます。現行のひとり親控除や児童扶養手当だけでは、未婚出産に伴う養育費未払いなどの経済的リスクを十分にカバーできていません。年間10万件を超える人工妊娠中絶の中には、経済的理由で産みたくても産めないケースも含まれています。

子どもは将来の社会を支える次世代の担い手です。次世代への投資を家庭の負担に委ね続ければ、少子化の解決は遠のくばかりです。介護保険が国民の負担の分かち合いで成立しているように、子育てを社会全体で支える財源のあり方についても正面から議論する時期に来ています。

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