前回の記事では、公金で運営されるポートセールスのセミナーにおいて、参加費無料の豪華な懇親会が開かれている実態をお伝えしました。
しかし、大分港に関わる外郭団体が抱える構造的な課題は、それだけに留まりません。
コンテナターミナルの指定管理を受託する「株式会社大分国際貿易センター」の決算を確認したところ、何とも不思議な財務体質が浮き彫りになりました。
今回は、この企業の財務状況と、出資者である大分市が果たすべき責任について詳しくお伝えします。
1. 異常に高い現預金と有価証券比率
株式会社大分国際貿易センターは、大分県が27.31%、大分市が12.14%、中小企業基盤整備機構が18.66%の株式をそれぞれ保有する第三セクターです。
公的機関だけで発行済株式の過半数を占めており、大分港大在コンテナターミナルの指定管理者として港湾施設の維持管理を行うほか、貿易センタービルの不動産賃貸などを手がけています。
同社の令和7年度決算公告によると、総資産は約10億円。このうち、港湾運営に必要な建物や機械設備などの有形固定資産は約2.3億円です。
一方で現預金が約5.3億円、有価証券が約2億円で合計約7.3億円、つまり総資産の約73%が手元の金融資産として積み上がっている状態です。
2. 年間売上の5年分を超える金融資産
同社の年間売上高は約1.4億円で、ここ3年間ほとんど変動がありません。手元にある約7.3億円の金融資産は、年間売上高の5年分以上に相当します。自己資本比率は驚愕の92.7%!財務の安全性だけを見れば盤石です。
しかし、これだけ潤沢な資金を抱えた企業に対して、大株主である大分県は指定管理料として公金を支払い続け、大分市に至っては全く興味がありません。
その結果、同社は毎年2,000万円近くの純利益を計上し、利益はそのまま内部留保に積み上がっていきます。
一般論として、多額の現預金を投資せず抱え込んでいる企業に対して、株主は配当による還元もしくは設備投資を強く求めます。その前提に立つと、同社のスタンスは、果たして評価されるものなのでしょうか。
3. 公金を流し続ける行政のガバナンス体制
同社のビジネスモデルは、自治体からの指定管理委託と不動産賃貸収入で成り立っています。景気変動に左右されにくい、極めてリスクの低い事業構造です。だからこそ、毎年確実に黒字が出て、内部留保が膨らみ続けるわけです。
この法人の存在を批判したいのではありません。最も問題なのは、県や市が大株主としての権利と責任を十分に行使せず、前例踏襲を続ける構造です。
株主として法人の経営体制を適切に見直し、委託料の減額や自立運営の促進に切り替えることができれば、捻出された公金を子育て支援や防災対策など、市民が本当に必要としているサービスへ振り向けることができます。
大分市は12.14%を持つ大株主です。株主総会の場で堂々と経営体質の見直しを提起し、市民への還元を主張する権利があります。
私は同社に対して直接提言できる権限を持ちませんが、行政に対して株主としての責任を問い正し、持続可能で透明性の高い行財政運営への転換を求めていきます。





