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なおきの「思考の深掘り」vol.18 青森県の生き残る道、核融合とデータセンター

ビジネス動画メディアReHacQで公開された、ひろゆき氏と青森県宮下知事の対談が興味深い。

若者の人口流出、産業構造の硬直化、地方の生存戦略をめぐり交わされた議論の中に、青森だけでなく日本全体が直面している構造問題の縮図があった。

数字が語る、青森の今

青森県では大学卒業生の約7割、就職する高校生の4割以上が県外へ流出している。

県の平均寿命は全国最下位水準で、その主因は40〜60代の死亡率の高さ。喫煙や飲酒といった生活習慣の問題が根深く絡んでいる。

一方で青森には底力がある。

白神山地や三内丸山遺跡といった世界遺産、恐山、大間のマグロ、りんご、雪国ならではの堅牢な住宅構造による災害耐性。

台湾・韓国からの国際便増加により外国人観光客が急増し、地域経済への波及効果も出てきている。

ポテンシャルは確かに存在する。

問題は、そのポテンシャルを若者が残りたいと思う理由に変換できているかである。

やり甲斐か経済合理性か

若者定住策をめぐる議論で外せない問いがある。

介護といったエッセンシャルワークは地域に不可欠だ。しかし公定価格のある産業は、制度上で利益率の上限が定められており、個人がどれだけ努力しても収入へ直結しにくい構造になっている。

やりがいと経済合理性が乖離したままでは、どれだけ地域の魅力を語っても若者の足は止まらない。

都市への流出は感情の問題ではなく、労働市場の構造問題だ。若者を地域に定着させるためには、将来的な所得増加が見込める産業を新たに創出する必要がある。

核融合とデータセンターがもたらす未来

では打開策はあるのか。

可能性の一つ目は、核融合エネルギーの研究開発拠点化だ。

青森県は、実証炉の建設を目指す関連施設の誘致を進めている。都市部ではスペース的にも社会的にも実現困難なプロジェクトを、広大な土地と受け入れる覚悟で引き受けようとしている。

二つ目は大規模データセンターの誘致だ。

原子力発電による安価なエネルギー、1500ヘクタールにおよぶ広大な工業団地、そして冷却効率に優れた寒冷な気候。この三つが揃う場所は、日本でそう多くない。

エネルギーコストの低減は日本全体の経済成長に直結する。青森の地理的条件は、国家レベルの課題解決とも重なっている。

東京の真似をするのではなく、都市にはできないことをやる。この発想こそが、地方再生の本質かもしれない。

国と地方における予算のズレ

もう一つ見落としてはならない論点がある。

国レベルでは多額の予算が使われないまま残る一方、地方自治体は僅かな資金を捻出するために苦労している。

国の政策が地方の実態と噛み合わず、予算が未消化になる構造的な問題だ。

これは青森だけの話ではない。

人口減少社会における都市機能の集約化(いわゆるスマートシティ)が理屈の上では正しくても、歴史的に郊外へ広がった居住地から住民を動かすことは現実的に極めて難しい。

理想、制度、個人の自由、これら三者のバランスをどう取るかという問いは、日本全体の制度設計に関わる問題だ。

日本はどうすべきか

青森の問題は、多くの地域が同様に直面している。

大切なことは、地方は都市の真似をやめること。人口が減る中で東京の真似をしても勝てない。その地域にしかない条件を活かした独自の産業を育てることが先決だ。

次に、エッセンシャルワークで働く人の所得が上昇できる制度改革を進めること。介護、農業などの産業に安く使える労働力として扱う構造を変えなければ、若者は戻らない。

そして国は地方の邪魔をしないこと。使われない予算を配るより、地方が自律的に動ける規制緩和と権限移譲を進める方が、よほど効果的なはずだ。

青森に核融合の火が灯るか、データセンターの光が点くか、それとも若者の流出が止まらないまま縮小するか。

地方の生き残りを賭けた壮絶なチャレンジが行われようとしている。

動画はこちら↓
前編:https://youtu.be/2p_1d3vIdwo
後編:https://youtu.be/jEy-4meaXrU

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