今回の選挙結果を見て「やはり自民党は強かった」と感じたのなら、それは実態と少し異なる。手元にある大分県の比例区データを見ると、別の観点が浮かび上がってくる。
■データから読み解く38%の勝者
自民党の得票率は38.2%だった。裏を返せば61.8%の有権者は、他党を選択したことになる。通常のビジネス市場であれば、シェア6割を持つ勢力が主導権を握るのが道理だ。しかし政治の世界では、3割台のシェアで圧倒的過半数の議席を獲得できる。これは、小選挙区制度というルールの下、野党が最適化しきれなかった結果に他ならない。
■分散という名の自滅
小選挙区において6割の民意が敗北した理由は、単純な分散にある。中道改革連合が21.6%、参政党が8.3%、国民民主党が7.6%、日本維新の会が5.8%と、票は見事に細分化された。自民党に対抗するという共通目的がありながら、これだけ票を食い合えば、38%の票を持つ相手に勝てるはずがない。
これは有権者の責任ではなく、まとまれば勝てるという市場原理を知りながら、小さな看板を掲げ続けた野党の判断ミスだ。
■複雑怪奇な選挙ルール
行政やメディアは判で押したように投票に行こうと繰り返すが、肝心の一票がどう扱われるかというルール説明は置き去りにされている。
仕組みが複雑なまま放置されれば、有権者は戦略など描きようがない。結果として知名度やその場の空気に流され、なんとなくの一票を投じる可能性もある。これは民主主義にとって看過できないコストだ。
政党の勝ち負けを論じる以前に、まずは行政やメディアが連携し、投票制度を誰にでもわかる形で可視化しなければならない。それこそが、政治への納得感を高めるための一歩となる。
なおきの「思考の深掘り」vol.15 6割の民意が死票になるメカニズム





